有給休暇

雇い入れた日から数えて6か月継続して勤務し、かつ全労働日の8割以上出勤すれば、従業員は10日間の年次有給休暇(一般的な呼び名として「有休」)を取得することが可能になります。この有給休暇の取得には上司や経営者の許可が必要でしょうか?

勘違いしやすいのですが、経営者の許可や承認を得ることなく、従業員は一方的な届け出によって有休は取得できることになっています。「有給休暇を取得する際には予め上司の許可を得ること」などと就業規則で定めると違法になります。

とはいっても、従業員が出勤時間の前に電話で有休をとりたいと言ってきても、緊急必要な場合を除いて、原則として有休を認める必要はありません。代替要員がいなくて業務に支障があるなら会社は原則として拒絶できるわけです。その場合、従業員が欠勤すれば、自己欠勤となり無給となります。

高熱が出たとか、病気や事故の場合は緊急必要な場合ですから、拒絶はできません。そうでない場合は、「時季変更権」といって、会社は従業員に対して他の日に変えてもらう権利が認めれています。権利行使のためには、「請求時季に年次有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合は、所属長はその申し出の時季を他に変更することができる」などと就業規則に定めておく必要があります。

有休も消化できないと翌年度に繰り越せるので、合計すると最大で年間40日になる場合があります。急に長期休暇を申請されたら業務に差し支えが起きますよね。最高裁の判例によると、従業員が2週間以上の年次有給休暇を申請する場合は1週間前までに届け出る必要があるという解釈できる判断を示しています。就業規則で「2週間以上の有給休暇を申請する場合は、1週間前までに届け出て、会社と事前の調整をしなければならない」と明記しておくことが大切です。

有給休暇での賃金の計算方法は、原則として就業規則に定めておく必要があります。平均賃金か、所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金のいずれかを選択しておきます。例外として、労使協定の締結が必要(届出不要)ですが、健康保険法による標準報酬日額に相当する金額もあります。一般的には「所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金」を採用する会社が多いようです。

パートさんの場合も、週平均して5日以上働くパートさんには、正社員と同様に有給休暇を与えなければなりません。日によって労働時間が変わる場合は、直近3か月で算出する平均賃金で計算して支払う方法が良いでしょう。もちろん就業規則に定めておく必要があります。

付与日数に関しては、入社6か月経過していれば10日間付与です。その後から1年6か月までは11日間付与になりますが、その期間の勤務日数が80%未満であれば、この期間の付与はありません。その場合、11日間付与が次の期間になるかといえばそうでもなく、1年6か月後から2年6か月までに80%以上出勤した正社員に対しては、勤務期間が継続しているため11日間ではなく12日間付与しなくてはなりません。

従業員が病気で欠勤して、後になって休んだ日数を有給休暇にしてほしいという申し出もよくあります。振替の問題ですが、元来の目的は心身のリフレッシュなのですから病欠の穴埋めとしての利用は良いことではありません。しかし、労使が振替に合意して就業規則に明記しているなら問題はありません。小さな会社の場合は、特に注意しておきたいところです。

どちらにしても小さな会社の経営者にとって有給休暇は、頭を悩ます事柄です。法的な内容をよく理解しておき、従業員とよく話し合っておくことが必要です。