試用期間の雇用

一回や二回の面接だけで、人の能力や適性を見抜くことは無理です。性格テストもいろいろありますが、絶対ではありません。正社員として採用してもすぐに辞められてしまうのでは、各種手続きに追われるだけでデメリットばかり感じてしまいます。そこで試用期間を設けて採用して、お互いが納得できれば正社員として採用というのが中小企業では多くなっています。この使用期間を過ぎて本採用を拒否することは簡単だと思いますか。

簡単ではないです。
試用期間中の適性を判断して本採用を拒否する行為は、法律上は「解雇」になります。

試用期間というのは、能力や技能、勤務態度、性格などの適格性をみて、正式な社員として採用するかどうかを決める期間です。試用期間中の従業員にとっては不安定な立場なので、ずっと試用期間ということは許されていません。試用期間の長さについては、特に労働基準法等で決まりはありませんが、一般的には3か月、最長でも1年が限度と解釈されているようです。必ず決めなければいけない必須項目です。

決めた試用期間中に辞めてもらうのも、試用期間が終わって辞めてもらうのも「解雇」になります。もちろん解雇の正当性が問われますし、試用期間中でも入社して14日を超えると労働基準法上の解雇予告の手続きが必要です。もちろん正社員を解雇する場合よりも、試用期間中の解雇は比較的認められやすいと言われていますが、「特に理由もないのに解雇する」というのは認められません。このような事を想定しているのでしたら、最初から期間雇用として採用するようにして下さい。

当たり前ですが「なんとなく気に入らない」というのは理由になりません。本採用の拒否事由として、つまり解雇として認められるのは、採用時の面接などでは予想できなかった事実が、試用期間中に判明したという事由です。

裁判例では、次のような事由が、本採用拒否の正当な事由と認められました。
・出勤率不良として、出勤率が90%に満たない場合や3回以上無断欠勤した
・勤務態度や接客態度が悪く、上司から注意を受けても改善されなかった
・協調性を欠く言動から、従業員としての不適格性がある
・経歴が詐称されていた
などが解雇の正当な事由として認められています。

試用期間中は教育指導を行う前提でもあるので、裁判例のような事由があっても急な解雇は認められません。教育指導の内容も問われます。甘い言葉ばかりで何も注意されなければ本人も本採用を期待しますし、期待が裏切られるとトラブルに発展します。注意すべきところは注意し、適切な指導や教育を行うことが大切です。その上で本人が期待に副う活躍をしてもらい正社員になってもらう方が、会社にとっては大きなメリットです。

試用期間を延長する場合は、延長せざるを得ない特別な事情が必要ですし、延長する期間は最初に定めておく必要があります。同意書をもらっておくことが大切です。延長後の解雇はとても難しくなります。延長前の事由では解雇することができないようです。新たな解雇事由、延長することになった事由改善が出来なかった理由、どれも正当性が難しいですね。

忘れがちなのは労災保険や雇用保険、社会保険の手続き。試用期間中でも加入基準を満たしていれば、試用期間採用時から加入しないといけません。「採用するかどうか試用期間でみますから、とりあえず働いて」なんて気楽に考えてはいけません。本採用拒否でけっこうもめますし、会社に対して悪い印象を与えます。インターネットでの風評被害にもなりかねませんから、気をつけたいところです。