狂歌の笑い

江戸時代に狂歌が流行ったということは知っていましたが、具体的な世界は全く知りませんでした。2012年2月18日の第184回研究会では、一桂案二という狂歌作家で民謡にも造詣の深い野中由彦氏による講演でした。テーマは「狂歌の笑い ~現代に息づく日本の庶民的ユーモアの伝統~」。江戸時代、庶民の笑いの文化はとても豊かで、楽しいコミュニケーションがあったのですね。そんな仲間が欲しいものです。特に面白いと思った狂歌プラスαをピックアップしてみました。

世の中は起きて稼いで寝て食って後は死ぬるを待つばかりなり(一休宗純)

不尽の山夢に見るこそ果報なれ路銀もいらずくたびれもせず(永田貞柳)

無くてよき物は女と香の物移り香厭う老いの身なれば(根岸肥前守鎮衛)
無くてならぬ物は女と香の物人の妻にも飯の菜にも(四方赤良)

世の中に人の来るこそうるさけれとはいうもののお前ではない(蜀山人)
世の中に人の来るこそうれしけれとはいうもののお前ではない(内田百聞)

世の中は色と酒とが敵なりどふぞ敵にめぐりあいたい(蜀山人)

金銀のなくてつまらぬ年の暮れ何としょうぎのあたま角飛車(四方赤良)

雑巾も当て字で書けば蔵に金あちら拭く拭くこちらふくふく(四方赤良)
雑巾も当て字で書けば蔵に金ここのかみさんふくのかみさん(改田屋与右衛門)

寝てまてど暮らせどさらに何事もなきこそ人の果報なりけれ(四方赤良)

(紀州の殿様に招かれ「五色の歌を」と乞われて詠める)
いろ白く羽織は黒く裏赤く御紋は葵(青い)紀伊(黄)の殿様(四方赤良)

月見酒下戸と上戸(じょうこ)の顔見れば青山もあり赤坂もあり(唐衣橘洲)

いつ見てもお若いと口々にほめそやさるる年ぞくやしき(朱楽管江)

借金も今は包むにつつまれず破れかぶれのふんどしの暮れ(朱楽管江)

世をすてて友だち多くなりにけり月雪花に山ほととぎす(花道つらね)

楽しみは春の桜に秋の月夫婦仲よく三度食う飯(五代目市川團十郎)

春も立ちまた夏も立ち秋も立ち冬も立つ間になえるむだまら(風来山人)

かかる時何とせん里のこまもの屋伯楽もなし小づかひもなし(風来山人)

親もなし妻なし子なし板木なし金もなければ死にたくもなし(林子平)

貧乏のぼうがしだいに長くなりふりまわされぬ年の暮れかな(詠み人知らず)

気は長く心は丸く腹立てず口つつしめば命長けれ(天海僧正の長寿歌という説もあり)

一丈の堀を越えんと思うなら一丈五尺を超えんと励め(徒然草)